非実態経済資金と新世界恐慌

非実態経済資金と新世界恐慌

深井 了 著

 現在の不安定な停滞ぎみの経済をもたらしたのは、リーマン・ショックである。リーマン・ショックをもたらしたのは、巨大な非実態経済資金の存在である。90年代のグローバル経済は、この非実態経済資金を実態経済として地球規模の拡大を見せていった。それでは、この巨大な非実態経済資金はどのようにして生まれたのか。
 本書では、1970年代以後、先進資本主義国が陥った末期資本主義的構造が、どのように非実態経済資金を生み出し、蓄積し、グローバル経済に組み込まれていくのかを理論的に解明していく。

 マクロ経済学の公式では例外的、潤滑油的存在であった資金は、実態経済においては、投資されるべきものとして存在し、投資によって資産やあらたな雇用を生み出し、やがて利潤を生み出していくものとして存在していた。しかし、1970年代からの末期資本主義的構造では、労働力人口の頭打ちや賃金の高止まりによって利潤率が低下し、生み出された利潤が次の投資へはなかなか行きにくい状態になった。高い賃金は保険や年金や大きな資金を生み出し、金融機関に蓄えられるが、末期資本主義では利潤率が低いため、これらがなかなか投資へ向かわなかった。
 ケインズが『一般理論』で論じたように、資金が資金のまま存在すると、完全雇用の前に経済は均衡をはかり、やがて縮小してしまう。資金が資金として存在するために、資金が自己増殖できる仕組みが必要になったのである。
 それは市場の論理とは違った論理で動く市場であった。

A5判 上製 270ページ
定価2,415円(本体2,300円+税)
ISBN978-4-87023-634-9

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〈目次〉
第一章 市場の論理と非実態経済資金
第二章 末期資本主義的構造と非実態経済資金
第三章 グローバリゼーションと非実態経済資金
第四章 リーマン・ショックへの道
第五章 非実態経済資金と経済政策

深井 了(ふかい・りょう)
1948年、富山県生まれ。
1972年、東京大学文学部卒業。

論文
『一般理論』と剰余価値理論 2006年

著書
末期資本主義と〈帝国〉の構造(秋山書店) 2010年